着物の血の染みクリーニング事例
着物についた血の染みのクリーニング事例についてご紹介します。
事例5. 紬の訪問着についた血染みのクリーニング
紬の訪問着の上前にたくさんの血のシミが付いています。血のシミも時間が経つにつれて血の色が濃く、黒っぽく変化します。シミはすぐにクリーニング処理をすると綺麗直ります。今回のシミもやはり、これだけ目立って沢山付くと新しい目のシミの場合がほとんどです。これだけ汚れているとお客様自身が慌てて、シミの応急の処置をしたくなるのが本音ですが、幸いなことにこのシミは触られていませんでした。クリーニングの手順ですが、まずは着物全体をドライクリーニングします。着物全体の油性にシミ、血の油性のシミを取ります。部屋干しで3~4日乾かし、次にクリーニングの機械を使って、水と洗剤で瞬時に血のたんぱく質のシミを取り除きます。
事例4. 振袖の長襦袢についた血染みのクリーニング
振袖の長襦袢の袖口に丸くシミが付いています。まずはこのシミが何のシミなのかを探ります。シミの色は薄茶色、シミの形は丸形、シミが付いた着物が長襦袢、シミが付いた場所が袖口辺り、これらで推察すると食べ物や飲み物のシミでは無さそうです。少しこのシミを指先で触ってみます。シミが固い感じがします。次に石油系溶剤とドライソープとブラシを使って、サッと手早くクリーニングをしてみました。あまり変化がありません。血液のシミのようです。血液は水溶性(たんぱく質)の成分が多いので、油性系のクリーニングでは取れません。水溶性のシミには水溶性のクリーニングで染み抜きをします。水と洗剤を使って、少しづつ時間を掛けてクリーニングします。シミがクリーニング出来るまで、取り切るまで、アイロンなどの熱処理をしてはいけません。取れるシミも取れなくなってしまいます。
事例3. 長襦袢の裾についた血の染み
長襦袢の裾に付いているシミです。シミの付く場所や、シミが付いている着物の種類にによっても予想が付くシミがあります。今回は血のシミです。シミの色から判断すると茶黒い色をしていますので、古いシミにも思えます。こんなシミの場合は、まずはクリーニング機に着物を入れて洗います。そして、次から、いつもの様に石油系クリーニング溶剤とクリーニングソープを付けて洗います。そして、この長襦袢を乾かして、血のシミのクリーニング作業に掛かります。洗剤と水を使い、血のシミを取ります。根詰めてすると生地を傷める場合がありますので、少しシミを取っては、このシミを干して、自然乾燥させる、繰り返しです。血のシミの場合、安易に熱を加えてしまいますと血のシミの芯が残って取れなくなります。ゆっくりと時間を掛けて気長にクリーニング作業します。
事例2. すぐ付いた血のクリーニング
単衣の塩沢紬着物にたくさんの赤黒く乾いた血のシミがついています。日本舞踊を教えている先生のお着物です。仕立て上がったばかりの着物を着ての踊りの稽古の帰り道、交差点で信号待ちをしている時、単車に当てられ、衿回り・右袖前・おくみなどに血液のシミがついています。クリーニングと染み抜きを頼まれました。これ以上、広範囲になると着物を全て解いて、洗い張りをするところでした。血のシミの成分はたんぱく質が主成分です。この成分は熱を加えると固まる性質があります。血のシミを落とし切らずアイロンなどを生地に当ててしまいますとシミが生地に残ってしまいます。血の染み抜きのクリーニング方法としては、まず、石油系クリーニング溶剤でこのシミは軽く洗い、次に洗剤と水を使いシミをピンポイントで落とします。クリーニングをするときの大切なことは、むきに染み抜き作業は行なわない事、シミが落ちきるまでアイロンは使用しない事です。
事例1. 着物の衿についた血のクリーニング
着物の衿に血液のシミが付いています。どんなシミもそうですが、新しいシミは取りやすく、時間が経つに連れてシミが落ちにくくなります。家庭でずぐに付いた血のシミは水だけで落とせますが、血のシミが落ちきれず、むきにシミを触ると着物の生地を傷つけてしまいシミは落とせても、傷ついた生地は直らなくなる場合もありますし、血のシミが落ちきっていないのに生地が縮んだからといってアイロンを掛けてしまうと血液の成分のひとつのたんぱく質が固まってしまい、落ちきらず、シミとなって生地に残ってしまう事もあります。自分で血液のシミが取れる場合もありますが、取れない場合もあります。ご自分で血のシミを落とそうとせず、着物クリーニング専門店にお任せください。