着物の母乳やよだれのクリーニング事例
母乳やよだれによる着物の染みのクリーニング事例についてご紹介します。
事例5. トイレの汚れ
紬着物の八掛けの裾に付いたおトイレの汚れです。その汚れを落としました。
こんな場合は、まずは着物全体を洗わせてもらいます。裾だけについた汚れなのですが、気分的に作業をしやすいようにさせてもらっています。着物を洗い、乾かし、汚れの臭いを取り除きます。それからもう一度、油性のクリーニング溶剤とソープを使い、細かく手作業で汚れを取ります。それが完了すると次に残りの水性の成分を水と石鹸を使って落とします。最後に生地が縮みましたので、アイロンや染み抜き用に電気コテを使って、綺麗に仕上げをします。
事例4. 子供着物の古いよだれのクリーニング
衿に付いた赤ちゃんのよだれの古い染みです。染みの付いた箇所と着物の種類、染みの色や形を見て、どんな染みなのか?検討をつけます。それでも、分かり難い場合は、その染みを触ってみて固いのか?どうなのか?と調べます。
今回は染みのついた場所、染みの形から赤ちゃんのよだれと判断しました。まず、最初は油性の成分からクリーニングしていきます。古い染みなので油性の成分が無いかも知れませんが、取り合えず、石油系の溶剤とドライソープを使ってクリーニングします。そして、次に水性の成分を水と洗剤を使って取り除きます。古い染みなので、これだけでは、染みを取りきれません。残った染みは酵素クリーニングをします。古くなった染みです。酵素も時間をかけて化学変化を少しずつさせて、元の着物に色の戻して行きます。
事例3. 母乳のシミクリーニング
『お宮参りに着た訪問着に母乳が付いてしまいました。クリーニングをお願いできますか?』とネットで検索されて、電話でお問い合わせを頂いた仕事です。
お着物を送って貰い、着物をチェックしますと胸辺りに沢山の母乳のシミがはっきりと付いています。
今回はクリーニング機を使って、瞬時に母乳の成分を全て取り除くようにしました。幸いにも母乳が付いてすぐのクリーニングだったので、綺麗に直すことが出来ました。母乳のシミをそのままにして置くと大変取り難くなっていまいます。なのでお宮参りが終わられましたら、そのお着物をクリーニングに出すことをお薦めします。
事例2. 赤ちゃんのよだれクリーニング
お宮参りの時に付いた赤ちゃんのよだれがご本人の着物の袖の部分についてしまいました。お宮参りは産後、間もないお母様のからだを事を労って、お婆様がお母様に代わりに赤ちゃんを抱くのが通例です。
そんな着物に付いたよだれの成分はほとんどが水分ですが、成分が分かっていてもクリーニングの方法は変わりません。基本通り行います。
クリーニングの作業をする時の注意する点は、今回のこのお着物は色の濃い着物です。それでいて、目で観察する限りでは、染め自体がきっちりと染まっていないように思いました。なのでクリーニングソープを使ってブラッシングするにしても、水溶性のシミを落とす洗剤を使いにしても、ブラッシングを力加減しないと紫色の染めのクリーニングの作業をした部分の色目が薄くなったり、生地が弱くなったり、ブラシで擦り過ぎない様に心がけクリーニングしました。
事例1. お宮参りの時の母乳のクリーニング
ご本人様がお宮参りの時の着用された付下げです。胸元に母乳のシミが付いています。娘様が大きくなられて、お母さんが着ていたこの付下げを友達の結婚披露宴で着たいということで、私共のところに持ち込まれました。
古い母乳のシミです。20年以上は経っています。母乳のシミは着物の裏から表に現れます。
クリーニング工程ですが、まずは石油系にクリーニング溶剤でこのシミを洗い、油性の成分のシミを取りました。そして、次にシルクガンとバキュームを使い、母乳のシミにたっぷりの水をかけ、これで落とせるシミを取り除きます。そして、乾くまで、時間を掛けて、自然乾燥させます。乾燥したら、シミの様子を見て、次に酵素クリーニングします。これも、時間を掛けてたんぱく質を分解し、母乳のシミを落とします。