着物の変色直し事例
生地の痛みや破損、変色などによって、クリーニング処理で落とすことができない汚れもあります。 そのような場合は装飾や加工を施すことによって、汚れを隠す、目立たなくする様々な技法があります。 その事例についてご紹介します。
事例3. 洗い張りの後の地直しクリーニング
今回のクリーニングの事例は、洗い張りをして、仕立て直しをした着物です。洗い張りは着物を全て解き、洗剤と水を使って着物についた汚れやシミを取ります。洗い張りをして、伊藤和裁で仕立てをしたのですが、仕立ての方から『衿に付いているシミが気になります。』と問い合わせが入りました。衿に付いた古い汗・古いファンデーションのシミが残っています。洗い張りでは取れないシミです。仕立て直しの着物なので、古いシミは気にせず、仕立てをするのですがシミがよく目立ち、仕立て上げてからでも気になりそうな場合は、このように仕立ての方から問い合わせが入ります。お客様に問い合わせを入れて、衿の地直しをすることになりました。これ以上、色を塗りますと、今度は塗ったこの色が濃いシミの様に見えてしまいます。70%ぐらいの出来栄えです。
事例2. 古いシミのクリーニング
伊藤和裁に子供用仕立て直しで持ち込まれた仕立て上がりの羽織です。ご本人が20代の頃に着ていた羽織を娘様の四つ身の着物にして着せたいと相談を受けた仕事です。羽織をすべて解き、洗い張りをしました。洗い張りをしても取れなかった古いシミです。一枚目の写真の様に残っています。変色してしまっている古いシミです。このまま仕立ててしまうとシミが四つ身着物として着用した場合、背中・肩周りに出てしまいます。綺麗に仕立て直しても着物が台無しです。直径3~4cmほどのシミを酵素クリーニングをして、たんぱく質を分解除去し、漂白剤で少しづつ、この古いシミを取りました。少し地直し筆で色を差し生地の色目を直しました。鹿の子絞りの凹凸感の風合いを損なわない様に、アイロンの温度を加減して、生地に吹き付ける水の分量、手で生地を引っ張らないように力加減に注意しました。ご本人の羽織がとても可愛らしい四つ身の着物に仕立て直されました。
事例1. スジ消し・色ハケ
いつもお世話になっている、京都のメーカーさんのしょうざん生紬の訪問着です。
スジ消しと色ハケをしました。